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ソーシャルアートラボ:地域と社会をひらく
アートプロジェクトやソーシャリー・エンゲイジド・アートという言葉が広まり、こうした活動が全国的に活況を呈している。しかし、アートが社会に役立つとはどういうことなのだろうか。アートが「アートのため」でも、「道具」でもないとしたら、どのように存在できるのだろうか。
本書は「ソーシャルアートラボ」(=社会とアートの関わりをとらえなおす実験の場)に関わる研究者、アーティスト、実践家たちが、自らの試行錯誤や実践をメタ的な視点から語り、上記のような問いに対し、新たな知見を生み出すことを目指した論考・エッセイ・インタビュー集である。
アートの現場で迷いを抱えているアーティスト、アートマネジャー、行政・NPO職員、ボランティアなどに向けて書かれた、社会におけるアートのあり方を再考する1冊。
編 九州大学ソーシャルアートラボ | 発行人 仙道弘生 | 発行所 株式会社水曜社 |
編集 中村美亜、木下貴子(CXB) | 編集協力 長津結一郎、高坂葉月 | デザイン 大村政之(couleur)
出版年月日 2018/07/17 | ISBN 9784880654461 | A5並製・240ページ | 定価 本体2,500円+税
目次
口絵 ソーシャルアートラボ プロジェクト(カラー16頁)
はじめに
I アートと社会
第1章:アートと社会を語る言葉(中村美亜)
インタビュー:アートとは?(藤浩志)
第2章:持続可能な社会のための文化の多様性(大澤寅雄)
第3章:農山村の自然と人の営みをつなぐアートの可能性(朝廣和夫)
インタビュー:アジアにおけるソーシャリー・エンゲイジド・アート(呉瑪悧/ウー・マーリー)
II 社会と協働するアート
第4章:アートの道具化を超えて(長津結一郎)
第5章:アートが生まれる場を設えるアートマネジメント(高坂葉月)
コラム:中山間地域のNPOから見たアートプロジェクト(小森耕太)
インタビュー:記憶に残らない「参加」(鷲田めるろ)
III 地域と向き合うアート
第6章:分かち合いは可能か?~共同性に関するアーティストの省察(ジェームズ・ジャック)
第7章:アートを通じた再生~修験の世界観と災害復興(知足美加子)
第8章:聴くことから始まる~三つの創作実践の現場から(藤枝守)
インタビュー:アートという翻訳(小山田徹)
IV アートを支える技
第9章:アートとデザインの相互作用(池田美奈子)
第10章:アートと工学~音への異なるアプローチ(尾本章)
Ⅴ アートの現場
エッセイ:過疎地域におけるアートプロジェクトの現場から(楠本智郎)
エッセイ:山里の美術館の奇跡(尾藤悦子)
エッセイ:「私」からはじめるアート/まちづくり(花田伸一)
九州大学ソーシャルアートラボの概要
九州大学ソーシャルアートラボの3年間
九州大学ソーシャルアートラボ メンバー
関連書籍紹介
あとがき
〈論考〉
中村 美亜:九州大学大学院芸術工学研究院准教授(芸術社会学)
大澤 寅雄:株式会社ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室主任研究員
朝廣 和夫:九州大学大学院芸術工学研究院准教授(緑地保全学)
長津 結一郎:九州大学大学院芸術工学研究院助教(アートマネジメント)
高坂 葉月:九州大学大学院芸術工学研究院学術研究員(アートマネジメント)
ジェームズ・ジャック:アーティスト、イェール・シンガポール国立大学助教
知足 美加子:九州大学大学院芸術工学研究院准教授(彫刻)
藤枝 守:九州大学大学院芸術工学研究院教授(作曲)
池田 美奈子:九州大学大学院芸術工学研究院准教授(情報デザイン)
尾本 章:九州大学大学院芸術工学研究院教授(応用音響工学
〈コラム/エッセイ〉
小森 耕太:特例認定NPO法人山村塾事務局長
楠本 智郎:つなぎ美術館主幹・学芸員
尾藤 悦子:「共星の里」事務局長、エグゼクティブ・ディレクター
花田 伸一:キュレーター、槻田小学校おやじの会OB
〈インタビュー〉
藤 浩志 :美術家、秋田公立美術大学大学院教授
呉 瑪悧(ウー・マーリー):アーティスト、台北ビエンナーレ2018キュレーター
鷲田 めるろ:キュレーター
小山田 徹 :美術家、京都市立芸術大学教授
*執筆者などの所属等は本書刊行時のものです。