Research|夕焼けハウス

夕焼けハウス
存在の言葉としての家

本作品の発端となったのは、ある一つの小屋です。その小屋には、小豆島の社会風景の中にある、今では使われなくなった石切り場の歴史が染みついています。私はこの家を構成する土壁、木の床、瓦屋根といったものの内側から、さまざまな記憶、物語、苦しみがにじみ出てくるのを感じたのです。とはいえ、そうした感情を目に見えるようにするためには、人々が参加するシステムによる以外にはありませんでした。建物に手を触れた一人ひとりが、すべてこの家を変えてゆきます。ですからこの家が存在しているのは、自分の希望、願い、悩みを寄せてくださったすべての方々の言葉のおかげなのです。このプロジェクトには、開かれた形でコミュニティーが参加しています。それはまず、あらゆる年代の人々が、自分の記憶、願い、夢、希望を、紙に書くことから始まりました。それらの紙は、今も壁の中に残っています。さらに近年、参加者たちは自分の苦しみ、悩み、難題を石に記し、それを庭に並べました。このように紙を壁の中に入れたり、石を裏返しにして置いたり、将来的には屋根の中に入れたりすることによって、この場所がエネルギーを帯びてくるのです。これらの行為は、各々独立したものとして考えると、単なる個人的な考えや私的な苦しみを体現したものにすぎません。けれども全体として、この家に新しい生命を吹き込んでくれます。そしてそれを天空にまで高めてくれるのです。本作品を制作する途上で、多くのくだけたお茶会、音楽会、自然にわき起こる会話が、この場所で行われました。夕焼けハウスにあってもまた、言葉は、文化、田舎と都会、年齢といったさまざまな断絶を横断します。その結果、共同の空間が生まれるのです。そしてこの共同空間の中で、コミュニケーションそのものが、建物を一つの芸術の家へと再生してくれるのです。

 

プロジェクトメンバー:ジェームズ・ジャック(SAL アーティスト)

 

期間:

2010年〜

 

場所:

瀬戸内国際芸術祭

2011年

2015年

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