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(2020年12月22日開催)第1回半農半芸フォーラム

2020.12.5

「アートある暮らし、農ある暮らし」

九州大学ソーシャルアートラボ×認定NPO法人山村塾

持続可能で豊かな暮らしは、わたしたちに何をもたらすのでしょうか。そしてそれは、どのように実現可能なのでしょうか。第1回半農半芸フォーラム「アートある暮らし、農ある暮らし」は、半農半芸の全国の事例に耳を傾け意見を交換する場をつくることで、将来のアートある暮らし、農ある暮らしを考えます。
このフォーラムを主催する認定NPO法人山村塾と九州大学ソーシャルアートラボでは、中山間地域を舞台として「アート×農」をキーワードとしたアーティスト・イン・レジデンス(芸術家による滞在型制作)や、中長期に滞在している国内外からのボランティアとの作品共同制作を行ってきました。今回はその事例を紹介するとともに、北海道と茨城から、芸術家やその周囲の人々と地域住民が協働して運営しているアートプロジェクトの事例についてお聞きします。

■日時:2020年12月22日(火)19:00-21:00
■視聴料:無料(要事前申込)

■登壇者
木野 哲也(飛生(とびう)アートコミュニティーディレクター)
羽原 康恵(NPO法人取手アートプロジェクトオフィス理事・事務局長)
武田 力(演出家・民俗芸能アーカイバー)
小森 耕太(認定NPO法人山村塾理事長)
大澤 寅雄(株式会社ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室主任研究員・九州大学大学院芸術工学研究院附属ソーシャルアートラボアドバイザー)
朝廣 和夫(九州大学大学院芸術工学研究院准教授/緑地保全学)
進行:長津 結一郎(九州大学大学院芸術工学研究院助教)

■お申込:下記のリンク先の申込専用フォームに必要事項をご記入ください。申し込みされた方へメールで当日のURLをご連絡します。
https://forms.gle/j8rotTh2LHoy257M7
申込〆切:12月18日(金)

■お問合せ:
九州大学ソーシャルアートラボ(担当:梶原)
TEL&FAX: 092-553-4552
E-mail: sal-cul@design.kyushu-u.ac.jp
HP: http://www.sal.design.kyushu-u.ac.jp
Facebook: 「ソーシャルアートラボ」で検索

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■プロジェクト紹介

飛生芸術祭[北海道]
北海道白老町の山奥の10世帯ほどの小集落にある共同アトリエである飛生アートコミュニティーは、1986年に閉校した旧飛生小学校を利活用し同年創立。飛生で制作する2世代目のアーティストたちが中心となり2009年に「飛生芸術祭」開幕。閉校以来放置されていた学校林では、かつて自然を取入れた授業が盛んに行われ、子どもたちは森に集まる鳥たちの声を聞き分けられたそうだ。再び子どもたちが自然環境で遊び、多様な人が集い学べる森を復活させようと、世代や地域を超えた多様な有志が集い2011年より「飛生の森づくりプロジェクト」始動。森は芸術祭の舞台であり協働の場でもある。飛生のアイヌ語源の1つである「トゥピウ=黒い大きな鳥が居る処」を物語りのモチーフとし、毎年約6ヶ月に渡り整備作業や作品創作をしている。2018年より芸術祭は飛生を本祭会場とし、町内複数エリアでも様々なプロジェクトを展開しはじめている。
※飛生芸術祭の前夜祭である「TOBIU CAMP」は2018年の北海道胆振東部地震により中止、2020年は新型コロナウイルスの影響により延期。
https://tobiu.com

取手アートプロジェクト コアプログラム《半農半芸》[茨城]
茨城県取手市で1999年から続く取手アートプロジェクト(TAP)の芸術祭型から通年型への転換に際し、郊外の特徴のひとつ「農」に着目した活動として2010年にスタート。当初は若い芸術家の農ある暮らしと才能の成就を目指すものだったが、活動初年度末の東日本大震災を受け、美術家・岩間賢をディレクターに迎え「10年かけて旅する」活動として新たに始動。自然の要素を表現の軸に据えた芸術家や研究者たちと、体を動かして自らが立つ土地とのつながりを知り、生きること、つくることを考える。都市内過疎地域である田んぼの中の活動拠点「TAKASU HOUSE(2014年〜)」は若手芸術家支援の拠点として、東京藝術大学取手校地内の学食「藝大食堂(2017年〜)」では食を入り口に、複層的に進む芸術家と地域の方々の実験が重なる場所として、多世代の活動を支える。
https://toride-ap.gr.jp/hannohangei
http://takasuhouse.com/
http://geidaishokudo.com/

奥八女芸農プロジェクト[福岡]
福岡県八女市黒木町笠原地区において、九州大学ソーシャルアートラボと認定NPO法人山村塾が協働し、2015年度からさまざまなアートプロジェクトを実践してきました。2018年度から「奥八女芸農プロジェクト」として、「アート」と「農」のつながりについて実践的に考える講座「奥八女芸農学校」と、認定NPO法人山村塾で長年実施している国際ワークキャンププログラムと協働したアーティスト・イン・レジデンスプログラム「奥八女芸農ワークキャンプ」を実施してきました。当初より演出家・民俗芸能アーカイバーの武田力を招聘し、2019年10月には地域に伝承される茶山唄を題材にした「八女茶山おどり」を地域住民の聞き取りをもとにして創作、発表し、地域に受け継がれ始めています。
認定NPO法人山村塾 https://sansonjuku.com

■登壇者プロフィール

木野哲也(飛生アートコミュニティー ディレクター)
高校・大学在学中より様々な領域の表現分野に関心を持ち、企画・制作・運営を実践し始める。2011 年より北海道白老町の小集落の廃校と森を舞台に「飛生の森づくりプロジェクト」と、飛生芸術祭の前夜祭「トビウキャンプ」を始動。2018年から地域資源と第三者と住民との協働を目指す町内アートプロジェクト「ウイマムプロジェクト」始動。2020年に地域の伝統工芸家たちと「いぶり工藝舎」を設立し地域独自プロダクトの制作販売を開始。

羽原 康恵(NPO法人取手アートプロジェクトオフィス理事・事務局長)
国際政治学を志してのち、芸術支援に出会う。大学院在学中に取手アートプロジェクト(TAP)に2年間インターンとして関わる。2007〜2008年財団法人静岡県文化財団企画制作課プランナーとして複合文化施設での企画運営従事を経て、結婚・出産を機に取手に戻り現職。取手アートプロジェクトのフェスティバル型から通年プロジェクト型への転換期をにない、コアプログラム《アートのある団地》の立ち上げほか、拠点運営・プロジェクトの企画運営、アーティストと住民をつなぐための中間支援、人材育成などに取り組む。現在は東京藝術大学取手校地「藝大食堂」のアーツ・センター化に奔走しつつ時々食堂のおばちゃんも。

武田 力(演出家・民俗芸能アーカイバー)
俳優として欧米を中心に活動後、演出家に。過疎の進む滋賀県朽木古屋集落の六斎念仏踊りの復活/継承に関わるなど、民俗芸能の構造から現代社会を観客と軽やかに思考する作品を展開する。近年では、フィリピン・Karnabal、中国・上海明当代美術館の招聘を受け、作品を制作した。横浜市芸術文化振興財団2016, 2017年度クリエイティブ・チルドレン・フェロー、2019年度国際交流基金アジアセンターフェローにそれぞれ選定された。

小森 耕太(認定NPO法人山村塾理事長)
大学時代に山村塾の活動と出会い、2000年4月から山村塾事務局スタッフとして八女市黒木町に移住。以後、地域の農林家と連携し、里山保全活動、都市農山村交流活動を企画運営してきた。平成24年7月九州北部豪雨での笠原地区農地復旧、平成29年九州北部豪雨で被災した朝倉市黒川地区の支援など災害復興にもかかわる。

大澤 寅雄(株式会社ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室主任研究員・九州大学大学院芸術工学研究院附属ソーシャルアートラボアドバイザー)
文化生態観察。2003年文化庁新進芸術家海外留学制度により、アメリカ・シアトル近郊で劇場運営の研修を行う。帰国後、NPO法人STスポット横浜の理事および事務局長を経て、株式会社ニッセイ基礎研究所研究員に着任。NPO法人アートNPOリンク理事長、NPO法人STスポット横浜監事も務める。共著に『これからのアートマネジメントー“これからのアートマネジメントーソーシャル・シェア”への道』『文化からの復興ー市民と震災といわきアリオスと』

朝廣 和夫(九州大学大学院芸術工学研究院准教授/緑地保全学)
博士(芸術工学)。専門は緑地保全学。1993年九州芸術工科大学芸術工学部環境設計学科卒業後、里地・里山の保全、都市緑地の保全等の教育研究を進める。平成24年7月九州北部豪雨の後に、「中山間地水害後の農林地復旧支援モデルに関する研究」を推進し、「災害後の農地復旧のための共助支援の手引き」を公開。中山間地の自然・生活の豊かさの保全には、アートが必要ではないか、という視点でソーシャルアートラボで活動中。

長津 結一郎(九州大学大学院芸術工学研究院助教)
アーツ・マネジメントや文化政策に関する研究や実践を通じて、異なる立場の人々がどのように協働することができるのかを探求。ソーシャルアートラボで2016年から八女市黒木町笠原地区との協働により、アートプロジェクトの企画運営や奥八女芸農プロジェクトの立ち上げを行う。

主催:九州大学大学院芸術工学研究院ソーシャルアートラボ、認定NPO法人山村塾
共催:公益財団法人福岡市文化芸術振興財団
助成:令和2年度 文化庁 大学における文化芸術推進事業