about SAL

理念

ソーシャルアートラボは、社会の課題にコミットし、人間どうしの新しいつながりを生み出す芸術実践を「ソーシャルアート」と捉え、その研究・教育・実践・提言を通じて、新しい「生」の価値を提示していくことを目的とします*。なお、ここでは「アート」を美術分野に限定せず、広義の芸術を示す総称として用い、作品という側面だけでなく実践的側面も重視しながら、環境デザイン、テクノロジー、マネジメントの観点からの総合的アプローチを試みます。(*英語では、socially engaged art, social practice art などと呼ばれている。)

背景

近代以降、技術に裏打ちされた表現としてのアートは、宗教的呪縛から逃れるため、伝統的な共同体社会規範から解放されるため、政治や商業主義から一線を画すため、個人の内面にかかわる、社会生活から自律したものとして存在してきました。しかし、理性と感性、公と私が切り離され、科学のみでは解決されない社会的課題が山積する今日においては、むしろ人間の内面と外の世界の行き来を可能にするものとして、人と人の関係性を再構築するものとしてアートが必要とされています。

指針

ソーシャルアートラボは、「“面白い”を形にし、“豊かさ”を見える化する」をキャッチフレーズに、様々な異なるものどうしのデモクラティック(民主的)な交流を通して、ポストグローバル時代を見据えた社会のデザインを考案することを目指します。

ミッション

研究

アートと社会の関係についての研究
アートがもたらす効果を測る方法の研究
プロジェクトマネジメントの評価指標の研究
未来のコミュニティのあり方の検討

教育

社会的課題への批判的な視点を養成
多様な価値についての理解を促進
複合的な学習プログラムの提供
実践的な学習機会の提供

実践

社会的課題にコミットした実践
アートプロジェクトの企画実践
多様な人々との協働を通じた実践
人々の意識を高める実践

提言

ポストグローバル社会における文化政策の提言
共生のための価値の提言
コミュニティデザインのためのネットワークスキルの提言
ソーシャリー・エンゲイジド・アートのモデルの提示

沿革

平成19~23年度 「ホールマネジメントエンジニア(HME)育成プログラム」実施
[文部科学省科学技術振興調整費「地域再生人材創出拠点の形成プログラム」(福岡市地域再生計画事業)]

平成24年度~ 九州大学大学院芸術工学府修士課程にHME育成プログラムを開設

平成25年度 「ホールマネジメントエンジニア養成講座」実施
[文化庁「大学を活用した文化芸術推進事業」]

平成26年度 「芸工パフォーミング・アーツプロジェクト」実施
[文化庁「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」]

平成27年4月 九州大学大学院芸術工学研究院にソーシャルアートラボを設置

平成27年度〜29年度 「新しい交流の場を切りひらく創造的なアート実践を企画運営できる人材の育成事業〜九州・沖縄地域のアートマネジメント人材育成ネットワークの構築」実施
[文化庁「大学を活用した文化芸術推進事業」]

平成29年度〜令和2年度 研究事業「文化芸術による社会包摂の在り方」を実施
[文化庁と大学・研究機関等の共同研究事業]

平成30年度 「志賀島プロジェクト2018」を実施
[日本財団「海と日本PROJECT」]

平成30年度〜令和2年度 「社会包摂に資する共創的芸術活動のデザインと人材育成プログラムの構築」を実施
[文化庁「大学における文化芸術推進事業」]