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(2018年7月14日-2019年1月12日開催)インターンシップ「演劇と社会包摂」制作実践講座 多様性から生まれる舞台

*募集終了しました

九州大学ソーシャルアートラボでは、「演劇と社会包摂」をテーマに制作実践講座を開催します。本講座では、多様な身体を持つ人びとが参加する演劇作品の制作プロセスを体験することを通して、障がいのある人とのコミュニケーションのあり方や、舞台制作の現場におけるケアのあり方など、多様な表現を支えるために必要なコト・モノを実践的に学んでいきます。

本講座は、文化事業や文化施設、福祉事業関連に従事されている方や、将来そのような分野に携わりたい方を対象に、身体に障がいのある俳優たちと演劇活動を行う認定NPO法人ニコちゃんの会の制作現場をフィールドにした実践的な学びを企画しています。
近年、障がいや高齢など、社会的マイノリティとアートの関わりが注目され、積極的に取り入れられています。一方で、社会的マイノリティとされる人々と共に作品を制作していくことはいかにして可能なのか、またいかなることが大切になるのか、といった知識やノウハウが蓄積され、共有されているとは言い難い状況にあります。
そこで、本講座では、受講生がインターンとして実際の現場で稽古から公演までの作品制作に関わり、そして体験を振り返るという一連のプロセスの中で、これからの活動に活かせる形で「学び」を展開することを目指しています。これからのアートや福祉に関わる方々のご参加をお待ちしています!

| 実施プログラム・スケジュール | 募集要項 |講師プロフィール | 主催クレジット|

実施プログラム・スケジュール

第1回講座 :オリエンテーション「表現と出会う」
日時:2018年7月14日(土)15:00〜16:30
会場:九州大学大橋サテライト「ルネット」
受講生同士が知り合い、講座全体の目指すものを共有する機会とします。オリエンテーション後は、関連企画の公開フォーラムに参加することで、今回の講座の持つ問いを深めていきます。 講師:森山淳子(認定NPO法人ニコちゃんの会代表)、長津結一郎・宮本聡(九州大学ソーシャルアートラボ)

*関連企画:フォーラム「わたしたちの舞台はどこにある?—劇場と社会包摂を考える実験」
日時:2018年7月14日(土)18:00(開場:17:30)〜20:30
会場:九州大学大橋キャンパス多次元デザイン実験棟ホール☆参加必須
高齢者や障がい者とともに音楽や演劇、ダンスなどを創作する3名の講師を招き、トークイベントを企画します。本学教員を交え、これまでの講師が行ってきた実践の紹介や、制作の工夫についての報告を通じて、多様性を生かした表現の可能性について学びます。
講師:野村誠(作曲家・ピアニスト)、吉野さつき(ワークショップ・コーディネーター、愛知大学文学部教授)、倉品淳子(俳優、演出家)、長津結一郎(九州大学ソーシャルアートラボ)

第2回講座 :ワークショップ「身体で知り合う—表現とケアの2日間—」
日時:2018年7月15日(日)13:00〜18:00、16日(月・祝) 10:00〜16:00
会場:九州大学大橋キャンパス3号館322教室
☆参加必須
異ジャンルコラボバンド「門限ズ」と、障がいのある俳優による、身体表現のワークショップを2日間にわたって開催します。「門限ズ」の手法や俳優たちの生み出す表現に触れることを通じて、表現とケアという両面からお互いの身体を通して、知り合っていきます。
講師:門限ズ[野村誠(作曲家・ピアニスト)、遠田誠(ダンサー、振付家)、吉野さつき(ワークショップコーディネーター、愛知大学文学部教授)、倉品淳子(俳優・演出家)]、森山淳子(認定NPO法人ニコちゃんの会代表)、鈴木玲雄(俳優)、森裕生(舞台パフォーマー)、里村歩(俳優)、長津結一郎(九州大学ソーシャルアートラボ)

舞台制作実習:現場でのインターンシップ
第1回 日程:2018年7月21日(土)、22(日) 会場:ゆめアール大橋 大練習室 ☆参加必須
第2回以降 日程:2018年11月10日(土)〜12月20日(木) 会場:ゆめアール大橋 大練習室 ほか
※公演に向けた稽古は毎日行われています(11月10日〜16日を除く)。稽古時間は夕方からとなりますが、実習としての参加時間は相談に応じます。

公演
日程:2018年12月21日(金)〜23日(日) 会場:ゆめアール大橋大練習室 ☆参加必須
2回の講座で学んだことをもとに、公演に向けての作品制作の現場へインターン生として参加します。実際の作品制作のプロセスに触れ、生み出される作品に関わる体験を通じて、障がいのある人との制作手法やケアのあり方、舞台の工夫などを実践的に学びます。
(※実習への参加の度合い等については、ご相談の上決定します。)
メンター:宮本聡(九州大学ソーシャルアートラボ)

第3回講座:ディスカッション「共に振り返る」
日時:2019年1月12日(土) 九州大学大橋サテライト「ルネット」 ☆参加必須
オリエンテーションから公演までのプロセスでの体験や学びをもとに、参加者同士での振り返りを行います。振り返りにおいては、自分と他の参加者たちの体験を共有し、言語化していく中で、これから取り組む実践への生きた知識としていきます。
講師:森山淳子(認定NPO法人ニコちゃんの会代表)、長津結一郎・宮本聡(九州大学ソーシャルアートラボ)

募集要項

対象:

  • 文化事業や文化施設関連の仕事に従事されている方や、福祉事業関連の仕事に従事されている方。また、こうした分野に将来携わりたいと考えられている方。
  • 原則的に全ての講座に出席できる方(11月からの舞台制作実習は部分的に関わることも可能です。お問い合わせ先までお気軽にご相談ください)。
  • 定員:10名 ※応募多数の場合、ご提出いただいた記載事項をもとに選考させていただくことがございます。
  • 受講料:無料

*当方負担によりボランティア保険に加入していただきます。
*インターンシップに係る交通費等は自己負担となります。また、謝金の支払いはありません。

お申し込み方法・記載事項:

下記の項目を記載のうえ、メール・FAXのいずれかよりお申し込みください。
またソーシャルアートラボ公式ホームページ内「CONTACT」からもお申し込みいただけます。締切:7/6(金)
①氏名(フリガナ) ②年代 ③電話番号 ④メールアドレス ⑤所属 ⑥これまでの活動歴 ⑦参加の動機(講座への想い、講座を通して何を学びたいか等、400字程度でご記入ください)

九州大学ソーシャルアートラボ
TEL&FAX: 092-553-4552
E-mail: sal-cul[at]design.kyushu-u.ac.jp
Facebook: 「ソーシャルアートラボ」で検索

■講師プロフィール

野村誠:作曲家・ピアニスト
ブリティッシュ・カウンシル招聘により英ヨーク大学大学院音楽研究科にて1年間研修。インドネシアと日本で何度も上演される度に変化するガムラン作品「踊れ!ベートーヴェン」、日英共同の「ホエールトーン・オペラ」、マルチメディア作品「老人ホーム・REMIX」、インスタレーション「根楽」、「アコーディオン協奏曲」など、20カ国以上、40都道府県以上で、分野を横断し人と環境と出会いながら、作曲プロジェクトを展開している。異ジャンルコラボバンド「門限ズ」では、「ノム」として活躍中。

遠田誠:ダンサー・振付家
漆器作りの家系に生まれ、プロダクトデザインを学ぶ一方、商店街ファンとして街のディティールに注目。デザインする上での俯瞰した視点とマニアックな街の断片、ダンスの外様としての特異なアプローチから作品づくりを行う。日常のはざ間にダンスその他諸々を割り込ませた『まことクラヴ』を主宰し、劇場はもとより国立新美術館、金沢21世紀美術館、山口情報芸術センター(YCAM)といったアートスペースから商店街、市役所、電車内、空港に至るまで出没し、サイトスペシフィックな活動を展開する。異ジャンルコラボバンド門限ズでは、「エンちゃん」として活躍中。

吉野さつき:ワークショップコーディネーター・愛知大学文学部教授
英国シティ大学大学院でアーツ・マネジメントを学ぶ。公共ホール勤務、英国での研修(文化庁派遣芸術家在外研修員)後、コーディネーターとして、教育、福祉などの現場でアーティストによるワークショップを数多く企画。アウトリーチ事業やコミュニティアーツプログラム、ワークショップ等の企画運営を担う人材育成にも各地で携わる。異ジャンルコラボバンド「門限ズ」では、「めい」として活躍中。

倉品淳子:俳優・演出家
劇団山の手事情社所属。1990年より俳優として劇団山の手事情社にて舞台表現を追求する傍ら、インプロや大道芸、「あなざ事情団」「門限ズ」などのユニットに参加し、観客参加型演劇、他分野アーティストとの作品作りなど、演劇の可能性を広げる活動も同時に行ってきた。スイス、ドイツ、ポーランド、ルーマニア、韓国など海外での公演も多数。2012年より認定NPO法人ニコちゃんの会「すっごい演劇アートプロジェクト」チーフプロデューサー。異ジャンルコラボバンド「門限ズ」では、「じょほんこ」として活躍中。

森山淳子:認定NPO法人ニコちゃんの会代表理事
認定NPO法人ニコちゃんの会を設立し、非日常的な時間や場づくりを積極的に取り入れ、演劇・身体表現ワークショップなど、福岡市内を中心に企画・実践する。倉品淳子を演出家に迎え、60 歳以上の女性との演劇作品「よろぼし」(2004年)や身体的にバラエティあふれるひとたちの演劇公演『BUNNA』にプロデューサーの立場から携わる。

森裕生:舞台パフォーマー
講演家・プロマジシャン・役者・モデル・ボーカリストといった顔をもつ。先天性脳性麻痺による四肢体幹障害という才能がある。ステージネームは「Mr.Handy」。2013年「君の近くで・・・」(TECALL主催)で主演、2016年〜2017年 身体的にバラエティあふれるひとたちの演劇公演『BUNNA』(認定NPO法人ニコちゃんの会主催)に出演。著書として『まるはだか〜脳性まひプロマジシャンMr.Handy 誕生の日』(梓書院)がある。

里村歩:俳優
生まれつきの障がいではなく、原因不明で突然発症する。2014年より、俳優としての活動を開始。身体的にバラエティあふれるひとたちの演劇公演『BUNNA』(認定NPO法人ニコちゃんの会主催)に出演。その後、2016年には横浜・大阪公演、2017年の奈良・福岡公演と連続出演し、現在も同法人の俳優として継続的に活動している。

鈴木玲雄(俳優)
福岡ろう劇団博多代表。公務員として働きながら演劇を続ける。九州聴覚障害者団体連合会青年部長を務め、聴覚障害者支援の活動に携わる。補聴器と読唇でコミュニケーションをとる。福岡ろう劇団博多において、代表・俳優として公演を企画、出演している。新たな表現を追求するため、異なるジャンルとのコラボレーションを積極的に行っており、2015年より身体的にバラエティあふれるひとたちの演劇公演『BUNNA』(認定NPO法人ニコちゃんの会主催)に出演。

長津結一郎:九州大学大学院芸術工学研究院助教
専門はアートマネジメント、芸術と社会包摂。博士(学術・東京藝術大学)。異なる立場や背景をもつ人々がどのように協働することができるのか、ワークショップの開発や協働の場づくりを題材として研究/実践の双方からアプローチを試みている。著書に『舞台の上の障害者:境界から生まれる表現』(九州大学出版会、2018年)など。これまで関わった主なプロジェクトに「東京迂回路研究」など。2016年より現職。

・メンター:
宮本聡 : 九州大学ソーシャルアートラボテクニカルスタッフ